投稿

カセットデッキのお手入れ(実践編)

イメージ
 まずは状態を確認しましょう  ヘッドにかなり赤茶色の跡が付いており、ピンチローラーにも若干色がついています。  これはおそらくテープから出た磁性体の粉でしょう、前回の掃除から24時間程走行させているのでかなり付着しています。   ・ヘッドの清掃  前回紹介した液剤です。  ヘッドの清掃には1番の赤い液剤を使用します。        綿棒に液剤を染み込ませて、優しくヘッドを拭き取りましょう。  隙間に入り込んだ粉はなかなか取れないので、仕上げに搔き出すように拭き取るとキレイになります。                同じ要領でキャプスタンも一緒に拭きます。  こちらはデッキを再生状態にしつつ行うのがオススメですが、キャプスタンとローラーに綿が巻き込まれることが有るので注意します。 ・ローラーの清掃  今度は2番の緑色の液剤を綿棒に染み込ませ、デッキを再生状態にしつつローラーに綿棒を優しく当てます。  これもキャプスタンとローラーに綿が巻き込まれないように注意して行います。  仕上げに乾いた綿棒を軽く当てると早く乾きます。                  磁性体の赤茶色の粉がびっしり付きます・・・ 手入れ後の状態  ローラーは黒くなり、ヘッドは銀一色でピカピカになりました。  このようなメンテナンスは定期的に行わないと音質の悪化やテープの事故を誘発する可能性があるため、月に1度は行いましょう。 おまけ ・外装の清掃  年季の入った機種が大半をしめるカセットデッキは、外装が汚れていることがかなりあります。  一見そこまで汚れていないように見えても、いざ無水エタノールで拭いてみると輝きが失われていたことが分かったりします。(材質によっては無水エタノールが適さない場合もある)    細かい部分は無水エタノールを染み込ませた綿棒で、それ以外の場所は布に無水エタノールを染み込ませて清掃しました。仕上げにホコリを吹き飛ばすためにブロワーを吹くと隙間のホコリも取れるので非常におすすめです。  なんとなく白っぽく曇っていた外装も、黒光りするようになりました。  写真自体も暗くなってますが、目視でかなり変わっています。思い込みかもしれませんが持ち主が満足ならそれで良いのです。  今回も最後までご覧いただきありがとうございました。  他の記事も是非ご覧ください。

カセットデッキのお手入れ(用具調達編)

イメージ
デッキはいつもきれいにしておきましょう 手入れしないとどうなる?   ピンチローラーやキャプスタンが汚れてしまうと、空回りしてテープの走行が安定しなくなったり、テープが脱線して最悪な状態になってしまう可能性があります。  一度クシャクシャになった部分は元には戻りません、それが貴重なメタルテープや新品のクロムテープ、大事な音源で発生してしまった時の絶望感は計り知れません。  また、ヘッドが汚れると音質の悪化に繋がります。 どうやって手入れするの?   基本的には綿棒に無水エタノールや専用の液剤をつけて汚れを拭き取りますが、ここで要注意なのがクリーニングカセットです。  特に乾式のクリーニングカセットはヘッドを削ってしまう可能性があるため、補修部品の入手が容易でない、替えのきかないデッキで使用することは避けておきましょう。    オススメはコレ! 定番の液剤で、綿棒も30本付いてきます。 ヨドバシカメラやサウンドハウスで入手可能。  次回はAT6037を使用してデッキのお手入れをしていこうと思います。

デジタル時代に於けるレベルメーター(VUメーター)の使い方

イメージ
   煌々と輝くレベルメーター。  こちらはLEDですが、液晶やFL管の物も多く、古くはカーオーディオや"バブルコンポ"と呼ばれる大きなシステムコンポには必ずと言っていいほど付いていましたね。  しかし現在ではあまり搭載機を見かけません。 レベルメーターとは?  レベルメーターは"VUメーター"などとも呼ばれ、音の大きさを可視化する装置を指し、主にレコーディングや作曲シーンで使用することが多い物です。  かつて"バブルコンポ"の時代はCDをカセットテープに録音することが多く、その際に音が歪んでしまわないようレベルを調整するために使用していましたが、最近ではCDをコピーすることがあってもデジタルデータですので音量も気にせずそのままコピーすることができますので、もはや飾りと言っていい状態となっているでしょう。  このような状況ですので、現在レベルメーターやスペクトラムアナライザー(通称スペアナ)はソフトウェア化されたものや簡素な物が多くなっています。 レコーディング用途では必須!  レコーディングの際はマイク感度をオートで調整する機能や、音源の音量を自動的に調整してくれる機能がある機材も多く存在しますが、やはりマニュアルで最適なレベルを追い込むと一番完成度が高まるでしょう。  例えばDTM(PCで作曲することを指す)ではソフトウェア化されたレベルメーターやスペクトラムアナライザーを確認している方も多くいらっしゃると思いますし、アナログメディアをデジタルへ変換する際にも必ずと言っていいほどレベルの調節が必要となります。 レベルメーターが搭載されたSD-20M  私がカセットテープやレコードのデジタル化に使用しているTASCAMのレコーダーにも、簡易的かつ反応速度が遅いながらもレベルメーターが搭載されています。           音楽鑑賞時の演出として  アナログメディアが廃れた現在では、わざわざ別のメディアへ録音せずともデジタルデータをUSBメモリーやSDカードへコピーしてそのまま再生することができるため、レコーディング用途でレベルメーターを使用することが少ないと思います。  しかし、再生時にレベルメーターが動いているのを見ると、視覚的に盛り上がるものです。特にユーロビートやテクノなど、にぎやかな音楽を再生する

AKAIの専売特許 スーパーGXヘッド

イメージ
  A&D GX-Z6100のメカ 今回は、カセット好きなら誰もが知っているであろう"スーパーGXヘッド"のお話です。            そもそもヘッドって?  磁気ヘッドは、テープに記録された磁気を読み取るまたは磁気を記録するために欠かせない部品で、VHSやカセットテープは直接メディアに触れる磁気ヘッドの他にCDやDVDの場合は光学式の非接触ヘッドが使用されています。  カセットテープの磁気ヘッドは直接テープに触れる部分であることもあり、長い歴史の中で素材や構成などでいくつかの種類が生み出されてきています。    カセットデッキにおけるヘッドの種類   カセットデッキ用のヘッドとしては素材の面では、  ・ラジカセなどに多く使用される"パーマロイ"  ・非常にすり減りにくい"フェライト"  ・フェライト程ではないがすり減りにくく音質の良い"アモルファス"  などがあります。     パーマロイは音質が悪いわけではないのですが、すり減りやすいことからノーマルテープ専用のラジカセに多く使われている背景があります。   また、アモルファスはカセットデッキの中でも比較的後期に採用され始めたこともあり、新しめの高級機は大抵アモルファスヘッドを採用しています。   そして今回のテーマであるスーパーGXヘッドはフェライトをベースとしています。 スーパーGXヘッドとは?  スーパーGXヘッドは赤井電機が開発したヘッドです。  もとより耐久性の高いフェライトをベースに独自の加工を施し強化ガラスでカバーしているため非常に摩耗に強く、さらにノイズが少なく周波数特性も広いことから解像感のあるキリッとした音質が人気のヘッドです。  AKAIはA&Dになった後の機種にもこのスーパーGXヘッドを搭載し続け、AKAI製カセットデッキの代名詞になりました。  このヘッドを搭載したデッキの多くが生産から30数年が経とうとしていますが、摩耗に非常に強いという宣伝通り、すり減ってダメになったというような話は聞きません。  アモルファスヘッドも同様に摩耗に強いですが、初期の物はすり減ってしまったものもあるようです。  今後、更に10年ほど経った時、スーパーGXヘッドは摩耗知らずで居られるのでしょうか?    

PA機器を一般家庭で(YAMAHA P-1000Sをお家で使ってみよう)

イメージ
みなさんは"PA"という言葉をご存知ですか?  PAというのは"Public Address"の略で、店舗における放送や音楽イベント会場におけるオーディオシステム全般の事を指す言葉です。  ちなみに、選挙カーのメガホンもPAに含まれます。  そして、通常は音質よりも耐久性(長時間大音量を流し続けられるなど)が求められる機器であるため一般家庭で使用するには都合が悪い場合もあります。 PA機器は本当に音質が悪いのか?  "音質が悪い"かというと音質は悪くありません、もちろん選ぶ機械によっては大音量特化でとても聞くに堪えない物もあるかもしれませんが大抵は大丈夫です。  実際、レコーディングスタジオやライブハウスなどでも普通に使用されているため、音質に特化した製品も多く存在し、更に業務用製品特有の信頼性もあります。 ここから本題に入ります 「YAMAHA P-1000S」 をお家で使ってみよう  YAMAHA製のPA用パワーアンプは様々な種類があり、2021年12月現在販売中のYAMAHA製パワーアンプの中でも比較的安価なP-Sシリーズの、最も出力の低いP-1000SはSR(より音質を重視したPAのようなもの)から店舗における設備音響まで使用できるスタンダードモデルです。   P-1000Sの上にP-2500Sなどがありますが、一般家庭で使用する場合はおそらく出力が大きすぎ、制御が難しくなるかと思います。 P-1000Sは片ch 100Wで2ch合計200Wであり、家庭用のプリメインアンプの場合は出力の大きいクラスだと100W級が存在するため、P-1000Sは一般家庭でも使用できる出力であることがわかります。  そして価格は某Sハウスで3万円台後半と、出力の割にライト層でも非常に手を伸ばしやすい価格かと思います。 肝心の音質は?   やはりPA機器と言えど一般家庭での使用となれば音質が大切です。  しかし、ここは流石YAMAHAとでも言いましょうか、他のアンプに比べて非常にクセの無い自然な音を奏でます。クリック感のある出力ダイヤルを回していくと迫力のあるPAらしい大音量を浴びることもでき、1台で2つの顔を楽しむことができます。  そして、通常のアンプだと入力は赤白黄色のケーブルで馴染み深いRCA端子による"

3ヘッド? ダブルキャプスタン??

イメージ
 今回はカセットデッキのメカのお話です。    "メカ" というのは読み取りやテープの走行に関わる、まさにカセットデッキの心臓部と言える部分の総称で、タイトルにある3HEAD CLOSED LOOP DOUBLE CAPSTANというのはメカの機能や要素からそう名付けられています。 ※他には2ヘッド、シングルキャプスタン、オートリバースなどがあります。    まずはA&D GX-Z6100のメカを見てみましょう。  GX-Z6100は3ヘッド クローズドループダブルキャプスタンのワンウェイデッキです。 ※"ワンウェイ"とは"一方通行"つまり逆再生ができないと言うことですが巻き戻しはできます。    カセットテープを見たことがある方なら、どの部分がどう動くか、おおよそ想像はつくかと思います。    この画像では何が3ヘッドでダブルキャプスタンなのかよくわからないかと思いますので図で解説を行います。  主要なパーツはこんな感じです。   ピンチローラーとキャプスタンが回転し、テープはそれに挟まれる形で消去/録音/再生ヘッドの上を走行します。     実機の写真で言うと左右の銀色の細い棒が"キャプスタン"、その直下にあるゴムのような質感のローラーが"ピンチローラー" 真ん中のかまぼこ形の金属部品が"ヘッド" "消去ヘッド"は左側のピンチローラーの隣にある黒い金属部品です。          ・ヘッド  まず"3ヘッド"というのは、消去ヘッド・録音ヘッド・再生ヘッドが独立しており、録音しながら再生をして録音結果をチェック(モニタリング)することができます。しかし、再生ヘッドはテープからの磁気を受け続けることになるため、あくまでオカルト的な部分ではありますが消磁テープや消磁機を使用して磁気を無くす必要があるとされています。    逆に2ヘッドの場合は再生ヘッドが録音ヘッドを兼ねているため録音中のモニタリングができませんが、磁気の問題は録音をすることでヘッドの磁気が抜けるようです。  一般的には3ヘッド機の方が性能が高く音質も良いのですが、2ヘッド機でも3ヘッド機に迫る高音質を実現した機種が存在し、また現在でも新

ようこそ!

イメージ
札幌音響協会へようこそ!  といいましても、実在する組織ではないのでご了承のほどお願いします。  このブログでは主にミニコンポ以上クラスの音響機器について取り扱おうと考えています。  レコードプレーヤーからPAアンプまで年代問わず幅広く取り扱っていきますので、ぜひ御覧ください。  管理人紹介  レコードやカセットテープがお友達のアナログ派人間、実はデジタルオーディオにも興味があり、現環境にはハイレゾ 192kHz/24bit対応のCDプレーヤーも組み込んでいます。   お気に入りのメーカーはSONY DENON AKAI TEACなどで、AKAIは潰れてしまいましたが残り3社はどうにか潰れないでほしいと願うばかりです。  主に聞くジャンルは、ディスコ系やテクノを良く聞いていますが曲名が全く思い出せないのが多数あり、非常にモヤモヤしています。実はアニソンも聞いたりします。   こちらは愛機の A&D (AKAI) GX-Z6100 それとTDKのメタルテープ MA (70分) どちらもまだまだ絶好調      愛機とは言ったものの先日中古で購入したものだったりしますが、あまり状態がよろしくなかったのでしっかりメンテナンスをして愛情を注いでいます。   こんな調子ですが最新の機器にも興味がありますのでアナログ沼に畏怖を抱いた方々も、他の記事を是非ご覧下さい 。